WeWork では、環境 / スマートシティ / 交通 / エンタメ&レジャー / ヘルスケア / 自治体 / オープンイノベーションの7つの注目分野ごとプロジェクトを立ち上げ、コミュニティ形成やイノベーション創出に注力しています。

注力分野の一つ「環境( Environment )」において、WeWork 環境プロジェクトは、 食と環境をテーマに、WeWork 入居メンバーをはじめ先進的な取り組みを行う企業が活動や課題を共有するイベント「未来を味わう 〜食と地球のサステナブルな関係」 を10月28日、WeWork アイスバーグで開催しました。

<イベント概要>

未来を味わう ~食と地球のサステナブルな関係

日時:2025年10月28日

会場:WeWork アイスバーグ 1F ラウンジエリア

プログラム:

・オープニングトーク

 農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・国際グループ  吉田 和樹 氏 

・企業による登壇セッション 

  <登壇企業>

       Lively合同会社 / 有限会社川口納豆 / 株式会社JR東日本情報システム / 

       株式会社WONDERVOGEL / あきさわ園 (登壇順)

  <MC>

  WeWork 環境プロジェクト 加田 万宥子 / 三宅 静香 /  三浦 佳奈

・交流会

 

まずは、オープニングトークとして、農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・国際グループ 吉田 和樹 氏より食をめぐる課題についてお話し頂きました。

食産業は環境負荷の約3割を占め、気候変動が農業に深刻な影響を与えている現状があることを説明。特に水田のメタンガス発生が日本で最も多い温室効果ガスの発生源であり、家畜の排泄物も影響を与えているほか、気候変動による高温障害は米の白未熟粒の増加や、果物の不作など、農業分野に深刻な影響を与えているそうです。そこで農林水産省は、食料システムにおける環境サステナビリティの実現、生産性の向上、健康的な食生活の3本柱を掲げた「フードテック推進ビジョン」を3年前に立ち上げました。具体的な解決策として、プラントベースや細胞培養肉、ロボットの導入、植物工場、アレルギー対応食品などの事例を挙げ、さらに、国と民間が連携して課題解決に取り組む「フードテック官民協議会」の活動や、地方での食のイノベーションエコシステムの急速な盛り上がり、およびスタートアップに対する補助金制度や海外展開支援が行われていることをご紹介頂きました。

農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・国際グループ 吉田 和樹 氏

続いて、「豊かな生命が息づく地球環境と持続可能な社会を未来へ繋ぐ」をビジョンとするLively合同会社 種田 毅 氏 三浦 友見 氏が登壇。

Lively合同会社 種田 毅 氏

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データから食産業が地球環境に大きな負荷を与えていることを示し、現状では多くの国が目標とする2050年カーボンニュートラルの達成は現状のペースでは難しく、「ネガティブエミッション」といったCO2を吸収・固定・貯留する取り組みが不可欠であると強調しました。そして、ネガティブエミッションの一つのであり同社が焦点を当てている自然環境を再生する「リジェネラティブ農業」を紹介し、土壌の炭素固定や生物多様性の促進を通じて環境負荷を減らすだけでなく、「アニマルウェルフェア(動物福祉)」をはじめ社会的公平性も重要であるとお話し頂きました。

Lively合同会社 三浦 友見 氏

「アニマルウェルフェア」は、動物の誕生から死までの間、肉体的・精神的なストレスをできる限り少なくし、動物が本来の行動様式を発現できるような快適な飼育環境を目指す考えとされています。そのような環境(ウェルビーイングを満たす状態)を維持する国際的な指針を説明頂き、同社が東京農工大学と連携してアニマルウェルフェアを実現するための取り組み、モデル鶏舎「Unshelled (アンシェルド)」を紹介頂きました。

モデル鶏舎「Unshelled (アンシェルド)」

同社は、リジェネラティブ農業の普及を目指し、企業や行政を対象とした農家との体験プログラムのほか、モデル鶏舎「Unshelled (アンシェルド)」のツアーなども実施していることをお話し頂きました。

 

次に、有限会社川口納豆 門傳 英慈 氏、株式会社JR東日本情報システム 山田 康弘 氏、株式会社WONDERVOGEL 佐藤 浩幸 氏が登壇し、WeWork 内で生まれたオープンイノベーションプロジェクト「Tohoku RICE TOKEN」を紹介しました。

「Tohoku RICE TOKEN」は、バイオ炭を使い作った米(脱炭素米)の購入者に、環境に優しい行為をしたことを証明するデジタル証明書(NFT)をスマートフォンウォレットに付与するという取り組みです。

まずは、米生産者である川口納豆の門傳氏が、自身が作る米の生産過程で出るもみ殻を炭化させバイオ炭を作り、それを田んぼの土壌改良に活用する循環型農業について説明。植物は生きている間はCO2を吸収するが、腐敗するとCO2を排出するため、炭にすることで50年~100年CO2を出さない状態を維持でき、地球温暖化対策に非常に有効であると話しました。

有限会社川口納豆 門傳 英慈 氏

JR東日本情報システム 山田氏は、この脱炭素米を購入することを、脱炭素アクションに無理なく気軽に取り組めることにつなげようと、トークンにして残すプログラムの開発と実現を考えWeWork 内でのオープンイノベーションプロジェクトがはじまりました。

株式会社JR東日本情報システム 山田 康弘 氏

WONDERVOGEL 佐藤氏は、このプログラムを人々に伝わりやすくする役割を担いました。東北のお米とデジタルが融合しているというストーリーを伝えられる「Tohoku RICE TOKEN」というタイトルとプロジェクト名、生活者に内容が伝えられる「買って食べるだけの脱炭素アクション」というキャッチフレーズや、キービジュアルを作成しました。

WONDERVOGEL 佐藤氏

「Tohoku RICE TOKEN」は、2024年の実証実験で米400kgと日本酒200本を用意し、米2kgと日本酒1本を1口として計200口を募集し、完売しました。そして、ついに本年から正式に事業化と販売が「Tohoku RICE TOKEN シーズン2」としてスタートしました。シーズン2は、生成AIで作られたアプリケーションを通じてゲームのランキングに応じてお米がおまけでプラスされるなど、遊び心を持った取り組みに進化しています。

 

最後は、小田原市 あきさわ園  秋澤 史隆 氏が登壇。あきさわ園は、小田原の里山にある海から標高100mまでの3km四方の農地で、1000年以上の居住歴を持ち、漁業、酪農、棚田、果樹、山林、竹林、衣食住に必要な全てが揃っており、土木インフラも含め全てを自分たちで手掛けてきたそうです。

あきさわ園 秋澤 史隆 氏

みかん作りは300年以上続けられ、また地域にある有機資材を再利用する地域資源循環型農業や、50年ほど前から無農薬栽培をはじめたほか、作物をアップサイクルしたジャム、ジュース、ドレッシングなどの加工食品の販売、昨今は医療分野でのアロマテラピーや薬用植物の活用、みかんの花から化粧水を作るワークショップなど、多様な事業展開と里山資源の活用に取り組まれています。

一方、地域の現状と課題としては、あきさわ園がある地域は平均年齢73歳の限界集落であり、30軒ある農家集落のうち専業農家は3軒しか残っておらず、酪農家や漁業との兼業農家もほとんどいなくなっているそうです。

あきさわ園のブース<br />

また、竹林の放置といった課題もあり、これに対しては、建築家と協力して、みかんの貯蔵庫や家づくりに竹を活用し、一軒の家で1,000本もの竹を使うことで、景観づくりや資源の再利用を同時に行っている事例を紹介いただきました。なお、この取り組みは、古代からの伝統を受け継ぎながら、現代の課題に対処し、地域全体を持続可能な形で再生させることに焦点を当てているということが強調され、このように、よくある一時の商品販売のポップアップだけではなく、細く長く、誰かに依存せず、皆でこれからの欲しい経済、未来、環境を作っていくことこそが大切だと力を込めました。

フードロスや食料自給率、農業や流通の環境負荷など、食と環境は、切り離せない大きなテーマであり、私たち一人ひとりの食卓とも深くつながっています。そして、この環境問題は、1つの問題だけを解決すれば良いのではなく、あらゆる社会の問題が複雑に絡み合っており、解決するには地域や社会、過去や未来までを見通す幅広い視野と行動が必要であることに気付かされました。

 

本イベントや WeWork 環境プロジェクトの考え方に賛同する以下の企業より協賛を頂きました。

株式会社ドール「もったいないバナナ」

本来美味しく食べられるにも関わらず、見た目やサイズの問題などで規格外とされてしまうバナナを「もったいないバナナ」と名付け、廃棄を削減するドールのプロジェクトで活用されるバナナ

UMAMI COLA株式会社「UMAMIコーラ」

「予防医学」の観点から開発されたナチュラルエナジードリンク  現在の日本のクラフトコーラブームの火付け役の存在と言われている

株式会社桜「IZ GLASS」

石油をまったく使用しない、サトウキビ由来の生分解性プラスチックPLA(ポリ乳酸)製のコップ (UMAMI コーラを注いで提供いただきました)

UPBEET!Tokyo 「UPBEET!ドーナツ」

100%植物性食材から誕生したプラントベース(ヴィーガン)&グルテンフリースイーツ

Lively合同会社

 

セッションの後は、協賛企業のブースを中心とした交流会を実施。登壇者、参加者、ブース出展企業が「食」と「環境」のつながりについて対話しました。本イベントをきっかけに、 カーボンニュートラルの分野での企業連携の話が進んだ企業もあり、プロジェクト内において共創の第一歩を踏み出す実りあるイベントとなりました。

WeWork 環境プロジェクトは、一人ではどうにもならなかったとしても、誰かに共有することで自分ごととして捉える仲間を増やし、新しい共創・協働の可能性を広げていくことができるコミュニティとして、今後も活動を続けて参ります。

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